FAQ

診療に対する想い

医師を志したきっかけ

私が医師を志したのは小学5年生の時でした。特に身内に医者がいたわけではなく、子ども心に漠然と人の役に立つ職業につきたいと考えたのだと思います。当時は天才外科医を主人公にした手塚治の漫画「ブラックジャック」が流行っていたため、少なからずその影響を受けたのかもしれません。

診療風景01

医師になってからのジレンマ

しかし実際、医師になって患者さんの治療に携わるようになると、治療でどんどん良くなる患者さんがおられる一方で、あらゆる手立てを講じても病状が悪化してお亡くなりになる患者さんもおられ医学が万能でないという事実に直面しました。残念ながらこれまでの医療では末期がんのように積極的な治療ができなくなった患者さんの治療にはあまり多くの注意が払われず、私自身も医学部在学中にそのような教育は受けませんでした。

医師として働いてきて考えたこと

しかし医師になって約20年、多くの患者さんにお会いし、またお別れしてきた中で、私は患者さんが本当にたくさんの悩み・苦しみを抱えながら闘病されておられることを知り、たとえ病気に対して積極的な治療ができなくなったとしても、医師として他に何かできることがないのかを考えるようになりました。ちょうどそのようなとき日本でも緩和ケアという分野が注目されるようになり、私も学会や研修会を通じて多くのすばらしい先輩方から緩和ケアについて学ばせていただきました。

緩和ケアの重要性

患者さんがお持ちになっている苦痛は痛みなど身体的なものだけでなく、不安などの精神的な苦痛、仕事や経済的問題などの社会的な苦痛など多方面にわたっています。緩和ケアではまず医療者が患者さんのさまざまな苦痛をしっかりと理解した上で患者さんとともに悩み、考えて少しでも苦痛をやわらげることで患者さんがその人らしく日々を過ごしていただけることを目標としており、患者さんが住み慣れたご自宅での療養を希望される場合にも当然提供されるケアです。緩和ケアは決して終末期の患者さんやがん患者さんのみを対象にしているわけではなく、病気の種類や老若男女を問わず全ての患者さんを対象として提供されるべきものであり、私は医療を行う上での基本だと考えております。

開業するあたっての葛藤

今回、開業するにあたり私なりに多くの不安・葛藤がありました。病院の勤務医であれば患者さんの診療が主な仕事であり、また年1-2回は学会に参加して最新の知識や手技を学ぶことができます。一方、開業医には診療以外の雑用も多く、交代要員がいなければ学会に参加するのも難しいため医療の進歩に置いていかれるのではという不安もあります。それにもかかわらず私が最終的に開業を決意したのはやはり開業医という立場の方が患者さんとゆっくりと向き合うことでき、「病気」ではなく「病気をもつ患者さん」を診ることができるのではと考えたからです。これは限られた時間内で多くの患者さんを「さばく」ことが要求される病院の外来診察ではなかなか難しいことなのです。

診療に対するモットー

私が患者さんを診察させていただく時に常に心がけていることは、まずは患者さんに丁寧な説明と十分な情報提供を行って、ご自身の病気についてしっかりと理解していただくことです。これは患者さんが中心の医療を行っていく上で必要不可欠なことですが、時に患者さんは判断に迷われたり、またつらい現実と向き合わなければならないこともあります。私は患者さんがどのような状況にあろうとも医師として、また一人の人間として患者さんのおそばに寄り添い、ともに患者さんにとって最良の治療を模索していきたいと考えており、これこそが「開業医の本分」であろうと考えております。